2019年8月 日本食品科学工学会(北海道大:札幌)

冷凍方法の異なるタマネギの食感・物性・構造の比較

(1 明治大農・農化,2明治大院農・農化,3(株)ニチレイフーズ) ○平井捺津美1,片岡明日香2,山田浩輔3,福壽孝介3,中村卓1

【目的】

冷凍は食品の貯蔵寿命を延ばすために用いられるが、冷凍することで野菜の食感は劣ることが知られている。さらに冷凍する前にボイルや乾燥等の異なる処理を施すと、解凍後の食感も変わることが分かっている。そこで、冷凍前に3種の異なる処理を施した冷凍タマネギと生タマネギを用いて、破壊過程に着目した官能評価・物性測定・構造観察を行い、食感変化のメカニズムを力学的要因・構造的要因から見える化することを目的とした。これにより、より良い食感の冷凍野菜の製造に貢献できると考えている。

【方法】

冷凍前に、未処理・ボイル・乾燥のいずれかを施した3種の冷凍タマネギと生タマネギを使用した。それぞれのサンプルを所定の方法で調理して測定に用いた。官能評価では自由に言葉出しと、見た目のボリューム感・シャキシャキ感・歯切れのよさ・水っぽさ・食感を重視した嗜好性の5項目について順位付けを行った。物性測定ではクリープメーターを用いて突き刺し試験を行った。構造観察では走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った。

【結果】

官能評価の結果、最も優れた食感と評価されたのは生のサンプルであり、続いて乾燥、無処理、ボイルとなった。中でも乾燥サンプルは生のサンプルに非常に近い食感で、食感の良い生と乾燥・悪い無処理とボイルで二つのグループに分けられた。物性測定の結果でも生と乾燥・無処理とボイルの二つのグループで異なる破断曲線が得られた。構造観察では生のサンプルから乾燥、無処理、ボイルの順に細胞構造が破壊されていく様子が観察できた。 以上より、各冷凍前処理がタマネギに与える影響と、それに伴う食感の変化を力学的要因・構造的要因から考察する。