2010年3月 日本農芸化学会本大会(東大駒場)

ゼラチン/ペクチン系グミキャンディにおける相分離構造の形成と物性の変化

○長谷部智久、池田春奈1 、村山浩昌1 、中村卓(明治大学大学院農学研究科、 1カンロ株式会社開発本部)

【目的】

【目的】グミキャンディ(グミ)は食感が重要なお菓子である。そこでグミの食感と構造を、機器測定・官能評価・顕微鏡観察によって定量的に評価し、食感発現の要因を明らかにすることを目的とした。これまでに、ゼラチン/ペクチン系グミにおいては、ミクロの相分離(共連続相)構造を形成することを報告した1)。本研究ではさらに配合を変化させ、構造形態と物性変化を調べた。

【方法および結果】

ゼラチン5%・ペクチン2.5%・クエン酸1%を標準配合として、ゼラチン比率の高いグミ・ペクチン比率の高いグミ等、各種グミを作製した。機器測定では、破断強度試験・粘度測定・小変形振動測定を行った。またミクロの構造形態を走査型電子顕微鏡により、マクロの成分分布を共焦点レーザー走査顕微鏡により観察した。これらの結果、ゼラチン /ペクチン/クエン酸の配合の違いにより、構造と物性に大きな差を生じた。さらに、ある配合系において、ミクロの相分離とともにマクロの相分離を生じることが確認された。 1)日本食品科学工学会第56回大会講演集p.125

2009年9月 日本食品科学工学会 第 56 回大会(名古屋)

ゼラチン/ペクチン系グミキャンディにおける相分離構造の形成と物性の変化

○長谷部智久、池田春奈1 、村山浩昌1 、中村卓(明治大学大学院農学研究科、 1カンロ株式会社開発本部)

【目的】

グミキャンディの原料は、糖(砂糖・水飴)、酸(クエン酸)、高分子素材(ゼラチン)などである。なかでも特に、高分子素材であるゼラチンが3次元ネットワーク構造を形成することでグミキャンディ特有の食感が発現する。現在、市販されている製品の多くは、ゼラチンにペクチンやアラビアガムなどの多糖類が併用されている。これらを併用することで、食感は大きく変化するが食品構造はどのような変化が起こっているのか明らかでない。そこで本研究では、ゼラチンベースのグミキャンディに2種の多糖類(ペクチン・アラビアガム)を添加し、構造と物性への影響を調べた。

【方法】

3種のグミキャンディ[@ゼラチングミ(ゼラチン5%;固形分濃度)Aペクチン添加グミ(ゼラチン5%・ペクチン2.5%)Bアラビアガム添加グミ(ゼラチン5%・アラビアガム15%)]を作製し、それぞれ物性測定及び構造観察を行った。物性測定は、動的粘弾性測定と破断試験を行った。破断試験は、破断を生じるまで変形させるため、穴の開いた台(プランジャーガイド)を用い、変形圧縮率200%で測定した。構造観察は、共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)と走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。また、SEM観察前処理の固定条件として、蒸気固定法を用いた。

【結果】

ペクチン添加グミでは、ゼラチングミに比べ破断試験において低歪率で高い応力を示した。同様に、粘弾性測定においてもG’、G”ともに高い値を示した。また、破断歪率及び破断応力はゼラチングミに比べそれぞれ低下した。これは、顕微鏡観察の結果より、ペクチン添加グミでは粗いネットワークとなり亀裂が生じやすくなったためと考えられる。また、アラビアガム添加グミでは、ゼラチングミに比べ破断応力が増加した。これは、顕微鏡観察の結果より、ゼラチンネットワーク密度が増加したためと考えられる。以上の様に、ゼラチンベースのグミキャンディに2種の多糖類を添加することで、タンパク質と多糖類の異なる形態の相分離構造を生じ、その結果破断特性に影響を及ぼしたと考えられる。

2008年3月 日本農芸化学会本大会(名古屋)

加熱ゲルと冷却ゲルを組み合わせた共存ゲルの構造と物性

○長谷部智久,渡部幸一郎,中村卓(明治大農・農化)

【目的】

食品ゲルでは、食感素材(タンパク質・多糖類)が加熱及び冷却によりゲルネットワークを形成することで、食感が発現することが知られている。また、食感素材の多成分共存系においては、相分離ゲルネットワーク・相互貫入ゲルネットワーク・複合ゲルネットワーク等の構造を形成することが報告されている。しかし、多成分共存系ゲルネットワークの構造形体とゲル物性を関連づけた研究の報告は少ない。そのため、加熱ゲルと冷却ゲルを組み合わせた共存ゲルの構造と物性の関連を明らかにすることを目的とした

【方法および結果】

加熱ゲル(卵白・カードラン)と冷却ゲル(寒天・ゼラチン)をそれぞれ組み合わせ4種の共存ゲルを作成した。単独ゲル及び共存ゲルの構造を、共焦点レーザー走査顕微鏡・走査型電子顕微鏡により観察した。ゲルの物性は、クリープメータにより破断試験測定を行った。その結果、寒天・卵白共存ゲルのように不均質な構造(不連続相分離ゲルネットワーク)が形成されたゲルの強度はそれぞれの単独ゲルと比べ低下し、ゼラチン・卵白共存ゲルのように均質な構造(相互貫入ゲルネットワーク)が形成されたゲルの強度は増加した。 1)日本食品科学工学会2007年度大会講演要旨集p150