研究室の取り組みOverview of Research in 2018


明治大学理工学部エネルギーシステム研究室では、エネルギー需給の時間的・空間的ギャップを埋めるための、新たなエネルギー利用形態およびそれを実現するためのデバイスについて研究開発を行っています。また、我々の生活に欠かすことのできないヒートポンプ技術(冷房・暖房など「熱の質を変換する」装置)について、これまでにない新たな手法を提案し、実用化へ向け研究開発を行っています。
本年度は、国立研究開発法人・科学技術振興機構(JST)の「戦略的創造研究推進事業−先端的低炭素化技術開発」の課題に採択されている課題「階層構造磁気蓄熱再生器を持つ磁気ヒートポンプの開発」が4年目を迎え、いよいよ実システム構築のフェーズに入ってきています。この課題は、明治大学が研究代表となり、東京工業大学、九州大学、鉄道総合技術研究所などと研究グループを組んで行う国プロジェクトです。
以下の動画は、JSTプロジェクトの内容を紹介したものです。
また、本年度から新たに国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」にも参画し、磁気冷凍技術を活用した省エネルギー型ヒートポンプ機器の開発を進めています。これ以外に、企業4社との共同研究開発6件など進めています。
研究室のスタンスとしては、机に向かって1人じっくりというより、いろいろな会社や他の大学の学生とチームを組み、プロジェクト的に研究を進めていくことを積極的に勧めています。
研究内容Research
蓄熱
例えば、工場や製鉄所のようなところでは、数百度のたくさんの廃熱が存在しますが、熱がある場所とそれを使いたい場所に空間的なギャップがあるなどの理由で、効率的に利用されぬまま環境に捨てられています。また、寒冷地における冬期の冷熱を、時間的なギャップを超えて夏場の冷房に使えることができれば、エネルギー消費削減に貢献できることができます。
そのような問題を解決するための蓄熱技術の進展のため、新たな蓄熱媒体の開発からシステムのエネルギーフロー解析まで、幅広い研究を行っています。
固体冷媒ヒートポンプ技術
地球環境負荷の低減や、温暖化防止のため、フロン系冷媒ガスの使用規制がますます厳しくなっています。本研究では、冷媒として固体材料を用いることにより、地球温暖化係数がゼロである、グリーンヒートポンプの実現を目指し研究を進めています。この技術は世界的なネットワークによって情報共有がすすめられており、我々の研究室で得られたデータも積極的に公表・提供し、できるだけ早くの商品化・市場投入を目指しています。
複雑系熱流体工学
気体、液体、固体の二相および三相が混在する流れ(混相流)、特異な粘性構造を有する流れ、渦や乱流構造を有する流れ、さらには、化学反応や相変化および熱・物質輸送を伴う熱流体現象を、分野横断的な包括的研究により解明を目指す活動が進んでいます。これらの研究分野で世界的に評価の高い、神戸大学複雑熱流体工学研究センターに学外協力教員として参画し、次世代のサステイナブル社会の形成に貢献することを目指しています。
所有設備Laboratory Equipment
装置名 | メーカー | 型式 |
---|---|---|
ドラフトチャンバー | ダルトン | CSM-1300YT |
3Dプリンター | Stratasys | Objet30 |
赤外線サーマルカメラ | FLIR | A320 |
赤外線サーマルカメラ | FLIR | CPA-E60A |
小型環境試験器 | エスペック | SU-642 |
小型環境試験器 | エスペック | SU-242 |
光学顕微鏡 | Leica Microsystems | DM2500 LED |
実体顕微鏡 | Leica Microsystems | S9 D |
示差走査熱量計 | NETZSCH | DSC 3500 Sirius |
マッフル炉 | ヤマト科学 | FP312 |
小型プレス機 | アズワン | H300-05 |
ふるい振とう機 | Retsch | AS 200 digit cA |
可視化用レーザー光源 | カトウ光研 | PIV Laser G100 |
高機能流体解析ソフト | カトウ光研 | FlowExpert |
ホットディスク法 熱物性測定装置 | 京都電子工業 | TPS 500 |
回転式粘度計 | Brookfield | DV1 |
超純水製造装置 | Merck | Direct-Q UV |
低温インキュベーター | 福島工業 | FMU-054I |
低温インキュベーター | 福島工業 | FMU-133I |
小型磁気冷凍試験装置 | ||
中型磁気冷凍試験装置 |