フォトニッククリスタル Photoniccrystal
シリコンなどの半導体を使って電流を巧みに制御(電子回路)することによって情報技術は革新的な進歩を遂げたことは周知の事実です。電流の制御には半導体の「バンドギャップ」を用いておりますが、情報化が進めば進むほど高速で動作する素子が求められます。光(光子)の速度は電流の源(電子)の速度と比較し桁違いに早いことから光子を電子のように制御する(光回路)ことができれば、超高速デバイスが実現します。
光の制御には「フォトニックバンドギャップ」を用いることが提案されております。フォトニックバンドギャップは、ナノメートルオーダーの精密なパターンを人工的に組み立てたフォトニック結晶で得られます。現在、3次元フォトニック結晶は半導体リソグラフィー技術や自己クローニング技術を用いて作製されていますが、私達の研究室では、より簡単な方法でフォトニック結晶を作製することを考えています。
現在は、高分子フォトニック結晶の取り組みとしてポリイミドとテフロンの多層薄膜からフォトニックバンドギャップが得られるようになりました。また、2つの材料の熱膨張率差を利用してフォトニック結晶の2次元化の可能性も得られています。さらに、高エネルギーレーザプロセスを併用することで3次元フォトニック結晶を作製する試みも始まっています。ナノスケールの高分子膜は、研究室で作製した真空重合装置により作製しています。この研究はまだスタート段階ですが、産業界からも注目されております。
3次元構造による光の制御(模式図)