]線顕微鏡を用いた研究

1.投影型]線顕微鏡
私たちの研究室では走査型電子顕微鏡(以下SEM)の試料室部分を改造して作製した投影 型]線顕微鏡を用いて研究を進めています。この顕微鏡は電子線の集束まではSEMの本体そのま まを用いており、SEM本来試料位置の代わりにターゲットと呼ばれる金属薄膜を設置し、電子線を走査させず膜上の一点に集束させることで、そこから特性 ] 線と連続]線を発生させています。このX線は球面波的に広がるため、光源の直下に試料を、さらにその下方に検出器を置くことで、試料の拡大投影像を作る仕組 みになっています。この顕微鏡は、タ ーゲット表面をSEMの2次電子像によって観察し焦点合わせを行うことで、これまで技術的な難点であった、電子線の最適な焦点 合わせの問題を解決できる利点を持ちます。この]線顕微鏡の性能向上や生物構造の 観察、元素解析や]線CTなどの研究を行っています。




X線顕微鏡
]線顕微鏡の構造図


蜘蛛の]線投影写真
→その他の]線写真
→その他の]線写真2
→]線動画集

2.投影型X線顕微鏡を用いたX線マイクロCT
 X線マイクロCTは試料にさまざまな方向からX線を照射し、各方向の透過X線から積分された内部情 報を コンピュータで画像処理を行うことにより試料内部の各点のX線吸収係数を求めます。 この方法は、3次元可視化ツールを用いることにより、再構成像を3次元的に観察することも可能となります。
CT写真
X線マイクロCTによるゾウムシのCT写真

3.投影型X線顕微鏡を用いた元素解析
 物質にX線を照射する場合、その波長と吸収係数の関係は、一般的に波長が長くなるほど吸収は大きくなります。しかし、吸収端の近傍では、吸収端の波長より短い波長と長い波長の吸収が逆転します。この性質を利用して、特定したい元素の持つ吸収端波長の直近かつ前後の波長で、それぞれの画像を取得し、それらの画像のコントラストを比較することで、目的の元素を同定します。
 下の図はニッケルとコバルトの粉末を混合した試験試料をX線顕微鏡で撮影したものです。鉄の吸収端(7.1keV)がニッケルkα線(7.5keV)とコバルトkα線(6.9keV)の間にあることを利用して、2つの波長で撮影したX線像を減算することにより鉄の分布を得ることができます。