プレゼンテーションの成否の99%は準備にかかっている.準備が完璧であれば,発表当日にアガることも無い.ここではそのプレゼンテーションの準備方法について述べる.
今回はオーラルプレゼンテーション(口頭発表)に向けた準備方法,および発表時の心得について解説する.
これは軽視されているが非常に重要なことである.プレゼンテーションがダメな人にまず共通しているのが,声が出ないこと,声が通らないこと,ボソボソとしていてはっきり聞き取れないことである. 声が小さい,通らないのはそのプレゼンテーションの価値を下げてしまうことはもちろんのこと,さらに重大なのは,
ことである.どれだけよく通る声を出せるか,はプレゼンテーションの成否を大きく左右する要素である.
普段から大きな声を出す訓練をしておかなければ声は出ないし,仮に訓練を積んだ人であっても,発表当日の朝,発声練習をしなければ出るものではない.
資料作成の所でも指摘したが,伝えるべき事が相手に伝わる事を最優先すべきである.話を始めると,とかくいろんな事を言いたくなってしまうものである.話題を絞り,ストーリをシンプルにするべきである.
早口はあまりよいことではない.あまり遅いのも問題だが,それよりも問題なのは,話し方に強弱や早い遅いのメリハリがないことである.これがわかっていない人は実に多い.緊張したり,わからせよう,と思って力んだりすると逆に早口になる人が多いが,全く逆効果である.
話しなさい.
よく,発表の場で,原稿を読んでいる人を見かける.しかし,発表の場で
である.原稿を見てしまえば,それが仮にどんなに優れた原稿であったにせよ,必ず「文章を読む口調」になってしまう.これでは誰にも聞いてもらえない.
ことを肝に銘じよ.演説ではない.
なぜスライドを見せるのか,を考えよ.人が外部の情報を取り込む時,その大部分は視覚からの情報である.数分かけて言葉で説明してもわからないことが,
こともある.長くダラダラと説明するのではなく,絵(グラフなども含む)を視覚情報として見せる見せ方,話し方をよく検討すべきである.
練習は必ず人に聞いてもらおう.その人に分かり難い点を指摘してもらうことも出来るし,何より,その人が本当にどれだけ理解してくれたかどうか,を調べることもできる.その人が理解していなかったら,発表の仕方を検討すべきである.
人に聞いてもらうことが出来ない場合,
ことも良い手段である.ビデオを見返せば,自分の欠点・問題点がよくわかるだろう.
我々が普段何気なく使っている言葉は,非常にくだけた口語表現である.しかし,これらの言葉の多くはプレゼンテーションの場にはふさわしくない.プレゼンテーションでは,その内容もさることながら,発表者の資質や知的レベルが問われる.特に最近よく耳にする語尾を伸ばすしゃべり方,
などは,聞く人に与える印象はすこぶる悪い.このような話し方は,
ことと同じだと認識せよ.
声に出して練習を始めると,黙って作っていたプレゼン資料に
この時,一つのスライドを直せば済むことはまれで,全体の構成を練り直す必要に迫られることが多い.この様なとき,内容全体をよく練り直す事に
より良いものを作り上げるには,忍耐が必要である.辛抱強く,あきらめずにクオリティを上げる努力をしなければならない.
よく練られた,流れるようなプレゼンは聞いていても気持ちがよく,非常に効果的である.しかしながら,このようなプレゼンは,
のは当然である.
そこで,最も効果的な練習法は,
である.プレゼンテーションの本番が,スライドの説明をすべきであることからすると,逆説的である.が,論理的に考えれば当然のことであろう.スライドを見ないで練習するためには,
ことはもとより,
がイメージ出来なければならないことを意味する.従って,スライドを作るとき,必然的に要点を絞ってシンプルでクリアな内容にしようと努力することになる.結果として,聞き手にとってもわかりやすい内容になるわけである.
もうひとつ,スライドを見ないで練習出来るようにする利点は,
ようになることである.プレゼンの直前は色々忙しいことが多いので,これは大きな利点である.
以上,ここまでプレゼンテーションの質を上げるための様々なノウハウを述べてきた.とにかく,プレゼンテーションの質が高いか,そうでないかは,その後の人生をも決めかねない重大なものである.ここで得た知識が少しでも役に立てば幸いである.
最終週はまとめの演習です.講義開始時に演習課題を公開します.これを講義時間内(およそ60分)でやってもらいます.課題の範囲は,本講義の中でやったことです.よく復習をして来てください.