工学文書とは,技術文書とも言い,技術レポートや論文などで用いられる文書のことを指す.内容が間違いなく的確に伝わるよう,簡潔で冗長性を排した表現などが好まれる.文書の書式には学会などによって多少の差異はあるものの,ある程度共通したルールがある.ここでは基礎的な事柄を学び,美しい文書を書けるようになることが目標である.
学会などによっては文書を作るための道具(=ワードプロセッサなどのソフトウェア)を規定していることがある.例えば物理学や数学を取り扱うことの多い学会や出版社などではTeX(「てふ」と読む)と呼ばれるソフトウェアが良く用いられる.しかし,最近では一般に普及しているMicrosoft社のWord等のワープロソフトを用いることも多くなってきた.従って本講義ではWordを用いて工学文書を作ることにする.
ただし,情報処理2では工学文書の作成法を学ぶことが主眼であるので,Word自体の使い方を深く説明するようなことはしない.ここではごく基本的な事だけを説明する.Wordのより詳しい使い方は,出版されている書籍やインターネット等の情報を元に各自で学習すること.
情報科学センターのWebページからは,様々なテキスト,ドキュメントがダウンロードできる.Microsoft Wordの入門用テキストもここからダウンロードすることができる.まずはこのテキストを見ながら,以下のことを実行してみなさい.(ただし,センターにあるWordのテキストは工学文書を作る目的では書かれておらず,あくまでもWordの使い方だけを記したものであると認識せよ)
情報学センターのページの左側,Indexの中の「ドキュメント」をクリックするとドキュメント一覧が表示される.ここで「パソコン関連」の2行目に「Microsoft Wordによるレポート・論文作成講習会テキスト」がある.
テキストに従ってWordの起動と終了をしてみなさい.
文書の保存先はマイドキュメントにすること.デスクトップに保存すると,ログアウト時に消去されてしまうので注意すること.また文書の作成作業中はこまめに保存するクセをつけること.
ページ設定は,学会などによって指定される内容が異なるが,ここではとりあえず,テキスト通りに設定してみなさい.
以下の文書を自分で入力してみなさい.
|
打ち込んだ文章のフォントや大きさを変更してみなさい.
段落設定をしてみよ.ここでは段落を2段組にしてみなさい.
以下の表を作ってみよ.表には必ずタイトルと表番号を付けること.表のタイトルは表の上側に付ける.実際は学会論文などでは表のタイトルは英語表記を義務づけられることが多い.この場合,表番号は「Table 1」などとする.
また,本文中から引用する場合は,「表1には...を示す」等,英文の本文からは,"Table 1 shows where the rooms for ...."等とする.
以下の図を自分の文書に張り込んでみよ.張り込んだら,図番号とタイトルを付けなさい.図の場合は,表とは異なり,必ずタイトルを下側につける.図番号も必ず付ける.表と同じく,一般には図番号と図のタイトルは英語表記にしなければならないことが多い.
本文中から引用する場合は,表と同様に「Fig.1は計測の結果得られた地形図である.」など,英文中からは,"Figure 1 shows a map which is ..."等とする.本文中では"Fig.1"と省略形で用いられることが多いが,主語になる場合には"Figure 1"と省略しないで用いることが多い.ちなみに,写真もグラフも線画もすべて図,あるいはFig.と表記する.
Fig.1 Generated Elevation Map
それでは実際の学会用の書式指定を参考にして,今まで作った文書を整形してみよ.【これ】は2005年度の機械学会主催ロボティクスメカトロニクス講演会の予稿集のフォーマットである.文書のタイトル,作成者の名前も適宜記入せよ.
上記のフォーマットに倣って整形したワード文書をメールに添付して提出せよ.なお,今回は英語のタイトル,著者名,アブストラクトは記入しなくても良い.
提出期限は来週月曜午後5時までとする.