明治非線型数理セミナー

2011年度までRDSセミナーとして開催してきたセミナーを,2012年度は明治非線型数理セミナー(キックオフイヤー)として開催しました.2013年4月に総合数理学部現象数理学科が開設され,ここに,新たな気持ちで明治非線型数理セミナーをスタートしていきます.理工学部数学科と2学科協働で新たな非線型数理のあり方を模索しながら情報発信していく所存です.場所は,中野キャンパスと生田キャンパスの両方を使用予定です.

生田キャンパスへのアクセス (Access to Ikuta campus) / Ikuta campus map
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2016.11.29 (火) 17:00〜19:00@生田キャンパスA棟A306
2016年度第14-15回明治非線型数理セミナー
講演者1: 可香谷隆 (東京工業大学) 17:00〜18:00
『二相分離モデルにおける接触角構造について』
概要:本講演では,有界領域内の集合に対して定義される界面エネルギーと接触ネエルギーの総合エネルギーに対する考察を行う.界面エネルギーは集合の表面積が少ない状態が得な状態となり, 接触エネルギーは領域の境界に接している表面積が大きい状態が得な状態となっている. それらのエネルギー構造により,上記の総合エネルギーに対する臨界状態では接触角構造が現れる. 一方,CahnやHilliardによって二相分離モデルにおける界面, 接触のそれぞれのエネルギー構造が考察され,上記の総合エネルギーに対するある摂動エネルギーが考察されてきた.本講演では,その摂動を考察するため,相分離を起こす摂動エネルギーに対する臨界点の列を対象とし,極限として相分離した状態が上記の総合エネルギーに対する臨界状態であるかを考察する.
講演者2: 小坂篤志 (明治大学) 18:00〜19:00
『滑らかではない境界を持つ領域上における半線形楕円型方程式の凝集現象』
概要:領域が滑らかな境界を持つ場合の,半線形楕円型方程式の特異摂動時における凝集現象に関しては,Lin, Ni, 高木('88)を初めとして多くの研究がなされている. 特にその問題において斉次Neumann境界を課した場合には,境界上の平均曲率が最も大きい点の近傍にて解の凝集現象が起こることが知られている[Ni, 高木('91, 93)]. 対して本研究においては,領域が滑らかではない状況を仮定する.特に,特異点の近傍で領域が扇形(2次元),あるいは円錐形(3次元)を成し, 特異点がそれらの頂点となっている場合における解の凝集現象を調べる.その場合,扇形の角度(円錐の立体角)が最も小さい特異点の近傍で解の凝集現象が起こること,および, その場合における解の漸近挙動が,関連する全空間問題の正値球対称解によって特徴づけられることが示される.

2016.11.10 (木) 17:00〜18:00@生田キャンパスA棟A301室
2016年度第13回明治非線型数理セミナー
講演者: 廣瀬三平 (芝浦工業大学)
『渦糸の運動の離散モデル』
概要:非圧縮性流体中の渦糸の運動モデルとして,空間曲線の陪法線流(局所誘導方程式)がよく用いられる. この方程式は橋本変換により可積分な非線形シュレディンガー方程式に変換されることが知られている. これは空間曲線が陪法線流に従って運動するとき,その複素曲率が非線形シュレディンガー方程式を満たしていると言いかえられる. このように曲線の変形と可積分系は密接な関係にあり,ここ最近は可積分性を保った離散化の研究が進められている. 本講演では,(平面/空間)曲線の変形と可積分系との関係から始め,その離散化について述べる. 特に,空間曲線の陪法線流の離散化,つまり渦糸の運動の離散モデルについて詳しく説明する. 本講演は,井ノ口順一氏(筑波大学),梶原健司氏(九州大学),松浦望氏(福岡大学),太田泰広氏(神戸大学)との共同研究である.

2016.11.7 (月) 15:00〜18:40@中野キャンパス6階研究セミナー室3
2016年度第10-12回明治非線型数理セミナー
講演者1: 大塚岳 (群馬大学) 15:00〜16:00
『クリスタライン曲率流方程式による渦巻の成長について』
概要:クリスタライン曲率流とは, 閉凸多角形で与えられるウルフ図形の拡大比率から算出される曲率により運動の法速度が定まる幾何学的発展方程式であり, 区分的1次関数を密度関数とするエネルギーの勾配流として定式化される発展方程式である. しかしエネルギー密度関数が微分不可能であることから,この多角形型曲線の運動については各辺の長さに関する常微分方程式系がしばしば用いられてきた. これに対しAlmgren-Taylor-Wangが変分アプローチを提唱し,Chambolleがこの変分アプローチと等高線法を組み合わせたスキームを導入した. 本講演ではこのChambolleのスキームに基づき,渦巻型の多角形曲線のクリスタライン曲率流による運動を表す二つのスキームを紹介する. この講演はY.-H.~R.~Tsai氏(Univ. Texas at Austin)との共同研究に基づくものである.
講演者2: Elliott Ginder (北海道大学電子科学研究所) 16:20〜17:20
『双曲型平均曲率流の近似解法について』
概要:この講演では,数理科学の研究分野である「Threshold Dynamics」(TD) についての双曲型(慣性を含む)アルゴリズムを目指し, 応用の側面では双曲型平均曲率流(Hyperbolic Mean Curvature Flow)の界面運動に着目する. TD は偏微分方程式の性質により,指定された界面運動の近似解法として計算上で実現可にする手法であり, Multiphase や位相的変化を取り扱えことにも有益であることがある.Bence,Merriman,Osher は,最初の TD アルゴリズム (略称:MBO) を作成し, この研究により工学から医学まで諸分野で使われている「Level Set Method」を生み出した.しかしLevel Set法は, 与えられた速度で界面を発展させる方法であるため,界面の加速度を直接に指定することができない.従って,本研究は MBO のベースに戻り, その TD の偏微分方程式を変えることにより界面の加速度を発展させる HMBO(Hyperbolic MBO)を作成した.
講演者3: 下條昌彦 (岡山理科大学) 17:40〜18:40
『曲率流の自由境界問題と対数拡散方程式のリッチフロー的アプローチ』
概要:We investigate the behavior of positive solutions to the Cauchy problem for the logarithmic diffusion equation with a linear source. It was known that every solution falls into one of the follwoing three cases, namely, expanding, bounded and extinction. Our aim is to study the asymptotic behavior of solutions. Among other things we show that solutions are asymptotically self-similar in both bounded and extinction cases. In these cases, solutions converge to a traveling wave. As a corollary, the asymptotic behavior of the logarithmic diffusion equation without source can be proved. This is the joint work with E.~Yanagida and P.~Takac.

2016.10.24 (月) 16:00〜17:00@中野キャンパス6階研究セミナー室3
2016年度第9回明治非線型数理セミナー
講演者: 奈良光紀 (岩手大学)
『Spreading fronts in the anisotropic Allen-Cahn equations on R^n』
概要:We consider the Cauchy problem for the anisotropic Allen-Cahn equation on R^n with n\geq 2, and analyze the large time behavior of the solutions with spreading fronts. Our result states that, under some mild assumptions on the initial value, the solution develops a well-formed front whose position roughly coincides with the spreading Wulff shape. This is a joint work with Hiroshi Matano in University of Tokyo and Yoichiro Mori in University of Minnesota.

2016.10.18 (火) 16:00〜17:40@中野キャンパス6階研究セミナー室3
2016年度第7-8回明治非線型数理セミナー
講演者: 長谷川洋介 (東京大学生産技術研究所)
16:00〜16:40『乱流の自在な制御を目指して1』
17:00〜17:40『乱流の自在な制御を目指して2』
概要:身の回りの多くの流れは,レイノルズ数が大きく乱流状態にある. 流れ場やそれに伴う熱・物質輸送を自在に制御できれば,エネルギーの有効利用, 環境負荷低減,環境モニタリングに大きく貢献できる.一方,乱流は,強非線形性, マルチスケール性を有しており,その発生機構やエネルギー散逸機構については, 依然として多くの未解決課題が残されている.本講演では,乱流制御の工学的ニーズを説明した後に, 摩擦抵抗低減制御,伝熱促進制御を中心に,既存の研究紹介,及び講演者のグループにより進めている最適制御理論の応用例を紹介する.

2016.10.17 (月) 15:00〜17:30@中野キャンパス6階研究セミナー室3
2016年度第5-6回明治非線型数理セミナー
講演者1: 久藤衡介 (電気通信大学) 15:00〜16:00
『非局所項をもつAllen-Cahn方程式の2次分岐と大域的解構造(I)』
概要:1次元定常Allen-Cahn方程式に対するNeumann問題では定数解から単調解が分岐することはよく知られている(Chafee-Infante問題). この問題の双安定項にある種の非局所項を付加すると,単調解の形成する分岐枝上に解の対称性を壊す2次分岐点が出現することが分かった. 本講演では,2次分岐点が現れる数理メカニズムの解説に主眼におきながら,解の大域分岐図を紹介する.
講演者2: 森竜樹 (華東師範大学) 16:30〜17:30
『非局所項をもつAllen-Cahn方程式の2次分岐と大域的解構造(II)』
概要:質量保存則を持った細胞極性モデルに由来する,積分制約条件付き1次元定常Allen-Cahn方程式について考察を行う. すべての定常解の表示式と積分制約条件の表示式を楕円関数と完全楕円積分で表示することで,分岐の情報を凝縮した曲面を構成する. その曲面の詳細な形状の解析から,定常解の大域的分岐構造の大部分の解明に成功した. 楕円関数による解表示を通じた分岐図の描写解析や数値シミュレーションの紹介を主眼に講演する.
注: 10月17日(月)の両講演は, 森竜樹氏,久藤衡介氏,辻川亨氏(宮崎大学),四ツ谷晶二氏(龍谷大学)の共同研究に基づくものです.

2016.8.31 (水) 15:00〜17:30@生田キャンパスA棟A301室
2016年度第2-4回明治非線型数理セミナー
講演者1: 榎本翔太 (九州大学) 15:00〜15:30
『圧縮性Navier-Stokes方程式の時空間周期解の安定性について』
概要:圧縮流体の挙動を記述する圧縮性Navier-Stokes方程式の解の安定性について考察する. n次元無限層状領域において外力に時空間周期性を仮定するとき, 圧縮性Navier-Stokes方程式は外力と同じ周期性を持つ時空間周期解を持つことが知られている. 外力が十分小さい時,時空間周期解の周りの解はn-1次元の熱核と同じ減衰率を持ち, 時間無限大の漸近挙動はn=3の場合は2次元の線形熱方程式の解のように振る舞い, n=2のとき,1次元の粘性Burgers方程式の解のように振る舞うことを示す. 本講演は隠居良行氏(九州大学)及びMohamad Nor Azlan氏との共同研究に基づく.
講演者2: 梅原守道 (宮崎大学) 15:30〜16:00
『自己重力粘性ガスの球対称運動について』
概要: 粘性と熱伝導性をもつガスの, 自己重力によるある球対称運動を考察する. 系の時間大域解の長時間挙動の解明を目指し,本講演では主に対応する定常問題について議論する.
講演者3: 井口達雄 (慶應義塾大学) 16:20〜17:30
『Variational methods and the Isobe-Kakinuma model for water waves』
概要:The water wave problem is mathematically formulated as a free boundary problem for an irrotational flow of an inviscid and incompressible fluid under the gravitational field. It is well-known that the water wave problem has a variational structure. In fact, J. C. Luke (1967) gave a Lagrangian in terms of the velocity potential and the surface variation. M. Isobe (1994) and T. Kakinuma (2000) derived model equations for water waves and the model equations are the Euler-Lagrange equations to an approximated Lagrangian, which is obtained by approximating the velocity potential in Luke's Lagrangian. In this talk, I introduce one of the model equations and explain the structure of the model and the solvability of the initial value problem.
注: 講演者3(井口達雄氏)は,8月31日--9月2日の間,同部屋で理工学研究科の集中講義をおこなっています.

2016.5.23 (月) 16:30〜17:30@中野キャンパス6階研究セミナー室3
2016年度第1回明治非線型数理セミナー
講演者: 村川秀樹 (九州大学大学院数理学研究院)
『細胞接着と細胞選別現象の解明に向けて』
概要:細胞同士,または細胞と細胞外基質が接着する現象は細胞接着と呼ばれる. また,生体内で各細胞がその機能を発揮するために適切な場所に移動し,適切な構造を形成する現象は細胞選別と呼ばれている. これらの現象は,個体発生時の臓器形成や,成体の組織細胞における機能協調,組織の再構築に関わる非常に重要な現象として, 細胞生物学や発生生物学などの分野において活発に研究がおこなわれている.その一方で, 数理的観点からの研究は十分になされているとは言い難い.本講演では細胞接着・細胞選別現象に関する実験結果の紹介, それらの現象を記述するモデルの導出,およびその基礎的な解析結果についての報告を行う. 本講演内容は富樫英氏(神戸大学),若狭徹氏(九州工業大学)との共同研究に基づくものである.

前年度までの明治非線型数理セミナー


このセミナーは,
・科研費基盤研究(B)「反応拡散系および自由境界問題の解のパターンダイナミクスの解明」(研究代表者・二宮広和)
・科研費基盤研究(B)「雪氷現象に現れる移動境界問題の数理解析」(研究代表者・矢崎成俊)
の補助を受けています.


世話人
 山本宏子 (明治大学先端数理科学インスティテュート)
組織委員
 坂元孝志,名和範人,矢崎成俊,渡辺浩 (明治大学理工学部数学科)
 上山大信,小川知之,二宮広和 (明治大学総合数理学部現象数理学科)