運動と免疫

 ■やさしい免疫のはなし   〜運動すれば病気にならないの?〜 

皆さんは運動会や遠足の後に子供が熱を出したり,激しい試合後にスポーツマン風邪をひいたりするという話を聞いたことがありまか?

このページではどのように運動が私達の免疫に影響を与えるかということを,私の研究内容をふまえながら解説したいと思います。

1 運動とナチュラルキラー細胞

一口に免疫と言っても,免疫は働きの異なる機能を持つ多くの物質により構成されています。nk
中でも運動に対して明らか反応するものとしてナチュラルキラー細胞(NK細胞)があげられます。
これはリンパ球のひとつで血液中を巡回し,ウイルスや癌細胞等に働きかけます。

2 運動強度とナチュラルキラー細胞活性

運動強度に応じてナチュラルキラー細胞活性は高まり,運動をやめると活性は低下します。
問題なのは,無酸素作業閾値(AT)を越えるような高い強度の運動後や,2時間以上の運動後には顕著な低下がみられるということです。
この時期には免疫力が抑制され,感染の危険性が高くなります。普通,活性低下は運動後6時間から24時間元に戻りますが,時には1週間以上も戻らない例もあります。

3 継続した運動習慣とチュラルキラー細胞活性

一方,継続した運動習慣を持つ人の安静時のナチュラルキラー細胞活性は,標準より高いことが示されています。
つまり1回の運動ではデメリットをもたらす運動条件でも,習慣化することによってより大きな免疫能力獲得することができるのです。

4 免疫力を高める運動は人それぞれ違う

以上のことから,中高年者は虚血性心疾患をはじめとする循環器系の傷害予防を考えて,ウオーキングやジョギング等の有酸素運動を習慣化することをすすめます。
また成長期や青年期では身体的に問題がなければむしろ積極的に強い運動をして,免疫機能向上と総合的体力を身につけることをすすめます。
いずれにしてもいきなり息が切れるような強度の高い運動をすることは,デメリットが多いでしょう。
また,スポーツに熱中していると気づかないうちにオーバートレーニングになることも多いので,必ず適度な回復期をとるとように心がけて下さい。

5 楽しく運動をしないと免疫力は高まらない

運動をする際に気をつけてほしいことがもうひとつあります。それは楽しみながら運動をするということです。
ナチュラルキラー細胞にはβ-エンドルフィンというホルモンのレセプターがあり,これは楽しいとか気持ちがいいという感情を引き起こす作用があるのです。このβ-エンドルフィンがナチュラルキラー細胞に結合すると細胞活性が増加します。
つまり楽しみながらする運動では免疫機能が増加するということです。
逆にストレスの高い状態で行えば免疫力は抑制されるので,押しつけられて嫌々する運動むしろマイナスとなるので避けるべきです。

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